「イシクニズム」 Vol.49
美吉野醸造
今年も奈良県の酒蔵にお邪魔した。奈良県吉野郡吉野町にある美吉野醸造株式会社である。吉野川のほとりに位置し、近くに名物柿の葉ずしの名店もある。

私は勘違いをしていた。奈良県は米どころであると。実際には北部に平地があるだけで、県の殆どが山間部であるとのことだ。ということで米作りは大変らしい。米は貴重とのことである。
このことが美吉野醸造の酒造りに大きく関係している。多くの酒蔵は理想とする味を思い描き、酒米を選び、米を磨き(削り)、仕込んでいく。一方、美吉野醸造の考え方は、米は貴重なので、米に合わせて酒造りをするというものである。極端に言うと米を削るのはもったいないという考えと推察する。

結果として「酸」が解放された酒となる。「酸」はすっぱいと思われるが、吉野の風土に寄り添った発酵が「酸」を生み出すのであれば、「酸」を抑えるのでなく、それに見合った旨味を引き出すことに注力した酒造りということになる。
酒母を水酛、山廃、速醸の三種類を使い、桶も木桶、ホーロー桶、サーマル桶の三種類を使い、それぞれ組み合わせて、秋酒、冬酒、春酒を造っている。特に水酛を使った酒は、力強さと強烈な旨味がありとてもおいしく頂いた。


さて、美吉野醸造の代表銘柄は「花巴」である。「花」は山桜、「巴」は水の渦巻く様子であり、その広がりを表している。なんとも良い名である。

目指すべき味の為に素材を吟味する、素材を最高に生かす為に作り方を工夫する。考え方は異なっても、その土地の風土、正に風と土と水を活かすという酒造りの根幹は変わらないと思った次第である。
今回も日本酒ではあったがものづくりの楽しさ、大変さが感じられ大いに勉強になり、感化された。

丁寧にご説明を頂き美吉野醸造様ありがとうございました。そして、設営に尽力して頂いた方々、当日アテンドをして頂いた方々にも心から感謝申し上げます。
ありがとうございました。

笑顔で笑顔に。


