修理室便り12月号
修理室の平野です。
今回は、セイコーの腕時計を電池が一年持たずに止まってしまうとの症状でお預かりしました。
時計内部を確認してみるとセイコー2J31Aとかなり小さいムーブメントが入っておりました。
分解前に動作確認すると消費電流3.39μAとかなり高い数値でした。
電池容量と消費電流が分かれば簡単な計算で電池寿命を知ることが出来ます。
電池寿命=電池容量÷消費電流
セイコー2J31AはSR421SWを使用するので電池容量は12mAhです。
計算式に当てはめて計算すると
12mAh×1000=12000μAh
12000÷3.39μAh=3593時間
3539÷24=147日
147÷365=0.4年
と約4か月しか電池が持たない計算になります。
ムーブメントを分解していきパーツを一つ一つ確認していくと油切れを起こし動きが悪くなっていることが確認できました。
乾いてしまった油を手洗いや回転洗浄機を用いて綺麗に落とし、注油をし改めて消費電流を測定すると0.55μAまで下げる事が出来ました。
こちらを先ほどと同様に計算すると約2.5年動き続ける計算となります。
全ての時計が分解掃除でここまで改善するとは限りませんが定期的な分解掃除をしていただく事で正常な状態で時計を長くご使用いただけます。