「イシクニズム」 Vol.21
時の記念日2024 近江神宮
京都駅でJR湖西線に乗り換えて二駅。
大津京駅を降りて住宅地を抜け、緩やかな上り坂を登っていくと歩いて20分ほどで近江神宮に着く。
今年も6月10日の時の記念日を迎えた。
1920年(大正9年)政府が日本国民に時間を正確に守ることを意識してもらうために東京教育博物館(現在の国立科学博物館の全身)において「時」展覧会を開催した。
この「時」展覧会の期間中に主催者が提案したのが「時の記念日」制定である。
天智天皇が671年6月10日に「漏刻」と呼ばれる水時計で時間を測ったという「日本書紀」の故事から6月10日を「時の記念日」に制定した。
現在の近江神宮のそばで天智天皇が漏刻を使って時計を測り、鐘を鳴らしたという故事から、近江神宮にその漏刻が再現された。
境内には全国でも数少ない時計の内部を学べる近江時計眼鏡宝飾専門学校がある。
また、古い時計なども展示されている時計館宝物館もあり、時計業界の聖地とでも言ってよい神宮である。
漏刻と並ぶ時計として古代火時計が境内に設置されている。4000年前の中国で使用されていた時計で糸に銅球を吊して、糸が燃えることによって切れて、銅球が落ちてドラを鳴らす仕組みである。
どれも一度は見ておきたい時計である。
社に向かう階段の両側には名の通った時計メーカーの石柱が立っている。当社も創業90周年の年に石柱を奉納させて頂いた。
また、創業100周年の際には社に昇殿し100年を迎えられたことへの感謝と今後の発展を祈願させて頂いた。
身の引き締まる思いがした。
時の記念日は年に一度時計の歴史について考えるいい機会と捉えている。
時計業界全体を見ると必ずしも順風満帆ではないかもしれない。
でも4000年前の火時計から1400年前の水時計、そして現代の機械式時計やクォーツ時計に至るまで時を測るという行為は不可欠なものとなっている。
時計という商材を通じて多くの方々の笑顔に出会えることをこれからも祈っている。
時の記念日が制定された年に創業された当社としては、毎年感慨深く6月10日を迎えている。
笑顔で笑顔に。
by Kunihisa Ishida