クロノスイスのご紹介

このコラムをご覧いただいている方の中で、「CHRONOSWISS（クロノスイス）」という高級腕時計ブランドのことをご存じの方はどれくらいらっしゃるでしょうか。

クロノスイスは世界的な知名度を持つ時計ブランドではありますが、だからといってロレックスやオメガのようなビッグネームほど国内で認知されてはいません。

もちろん時計ファンや、高級ブランドを取り扱う時計業界の方の中でクロノスイスをご存じの方はたくさんいます。クロノスイスは、いわゆる、知る人ぞ知るブランドです。

私は「だからこそ良い！」とさえ思ってしまいます。

時計を購入される人の中には、自分のセンスでゼロから時計を選びたいという方もいらっしゃると思います。そういう方に向けて、今回私は本格的高級時計ブランド「クロノスイス」のことをご紹介します。

そこまで踏み込んだ内容ではありませんが、少しでも「クロノスイス」にご興味いただければ幸いです。

【始まりは1983年　ファミコンや東京ディズニーランドと同じ年に生まれました】

クロノスイスの歴史は、1983年。創業者ゲルト・R・ラング氏によってドイツのミュンヘンに設立されました。老舗ビックネームブランドの歴史と比べてしまうととても若いですが、それでもすでに４０年が経過しています。

クロノスイスが誕生したのは１９８３年。和暦でいえば昭和５８年です。

昭和５８年がどんな年かというと、日本では東京ディズニーランドがオープンした年です。さらに任天堂からファミリーコンピュータ（ファミコン）が発売された年でもありました。当時小学生だった私も、この２つのインパクトが大きくてこの年のことはけっこう覚えています。つまり、クロノスイスは東京ディズニーランドと同い年ということになりますね（笑）　

【クロノスイスといえばレギュレーター】

クロノスイスというと、世界初となるスケルトン文字盤の自動巻クロノグラフを世に出したブランドとしても有名です。また、レギュレーターのモデルをたくさん世に送り出しているブランドです。

お時間があればクロノスイスのラインナップを一度ご覧ください。

高級機械式腕時計ークロノスイス | Chronoswiss

ラインナップを見ると気付くのですが、かなりの割合でレギュレーターのモデルが存在しています。

というのも、クロノスイスは量産腕時計としては初めてレギュレーター式文字盤の腕時計（手巻式）を世に送り出したブランドです。レギュレーターといえばクロノスイスというくらい、それなりに業界では知られているところです。クロノスイスもレギュレーターに関しては第一人者としての自負があると思います。

レギュレーターというのは、時針、分針、秒針などがそれぞれ独立している時計のことです。

―　クロノスイスのレギュレーター時計

◆REGULATOR CLASSIC

CH-4023-SI/SO　税込価格770,000円

通常の時計は文字盤の中心に軸があってそこを中心にしてそれぞれの針が回転する作りになっていますが、レギュレーターの場合は上の写真のようにそれぞれの針が離れた場所に軸をおいて回転しています。

レギュレーターの機構自体は１８世紀から存在していて長い歴史がありましたが、それは大きいクロック型のものでした。

レギュレーター時計の針の配置を初めて見る人は、時間を読むのに戸惑ってしまうかもしれません。しかし、その神秘的な針のレイアウトを眺めていると、高級時計らしい芸術的な美しさを感じませんか？

ちなみに、レギュレーター時計は使っていればそのうち時間を読むのにも慣れてきますよ。

【ドイツからスイスのLuzern（ルツェルン）に移転】

クロノスイスはドイツ生まれのブランドですが、現在はスイスのLuzern（ルツェルン）に本社を移しています。ルツェルンは、スイス中部の山々に囲まれたきれいな小都市です。

私が10年以上前にスイスに行ったときには、チューリッヒ、バーゼル、ジュネーヴといった具合にスイスを広く横断しましたが、残念ながらこのときルツェルンに立ち止まる機会がありませんでした。

今回、石國商店でクロノスイスを取り扱うことになり、いろいろとルツェルンの街並みを調べていると、ルツェルンの美しい風景画像を見つけることができました。とても美しい街並みなので、いつかまたスイスに立ち寄る機会があれば、ぜひこの地にも立ち寄ってみたいと思っています。

まだ行った地ではありませんが、マップで調べると、クロノスイスの本社は、ルツェルンにあるルツェルン湖（Vierwaldstättersee、フィアヴァルトシュテッテ湖）からわりと近いところにあることが分かります。

クロノスイス本社もルツェルンの美しい街並みに似合う素敵な建物です。まるで名のある博物館のように美しい建築物で、それだけでもブランドの格を感じることができます。

クロノスイス本社

【現在のクロノスイス】

クロノスイスというと、私が知る一昔前までのモデルは、コインエッジ、平たいステンレスケース、オニオンリューズ、白文字盤といったザ・クラッシック時計の印象が強く残っています。私が23年前に会社に入って10年間は池袋東武百貨店の時計修理コーナーに在籍していたのですが、このときには、修理やベルト交換依頼で持ち込まれるクロノスイスというとそのスタイルでした。

ところが、最近のクロノスイスはというと、“MODERN MECHANICAL”というコンセプトのもと、従来のスタイルに融合されたビビットなカラー文字盤を持ち、インパクトの強い個性的でアバンギャルドな外見を持つ時計をいくつも発表するようになりました。

私はこれまでのスタイルも好きですが、けっこう色見のあるデザインも好きなので、「フライング・レギュレーター　オープン・ギア　レセック」のような鮮やかなカラー文字盤のモデルも気に入っています。

◆OPEN GEAR RESEC CHAMELEON

CH-6923-PABK　税込価格1,639,000円【世界限定50本】

◆OPEN GEAR RESEC TIGER

CH-6923-ORBK　税込価格1,639,000円【世界限定50本】

「フライング・レギュレーター　オープン・ギア　レセック」などに見る美しく輝くビビットカラーのギョーシェ彫りダイヤルや、ケースからリューズまで綺麗なブルーDLC加工された「エレクトリック・ブルー」など、現代のクロノスイスから生み出される独創的でモダンな製品は、確実に新たなファンを取り込んでいると思います。

【クロノスイスは2012年に大きな変化がありました】

２０１２年にスイスの実業家オリバー・エブシュタイン氏がクロノスイスの新CEOになりました。ドイツからスイスのルツェルンに本社が移転したのもエブシュタイン氏がCEOになったタイミングです。

とはいえ、彼は「クロノスイスをぶっ壊す」とはおっしゃっていないと思いますのでご安心ください。創業者ゲルト・R・ラング氏が大事にしてきたモノづくりへのこだわりは今も続いています。

手動による「ギョーシェ彫り」や、どことん細部にまでこだわる「スケルトン加工」、多くのプロセスを経て芸術品のように仕上げる「七宝焼き文字盤（エナメル文字盤）」など、伝統的な製法はこれまでどおりしっかりと継承されています。その上で、新たなファクターを取り入れたクロノスイスだからこそ、魅力的な新モデルを開発できるのだと思います。