父親の形見(ROLEX×Mappin&Webb ダブルネーム)
時計修理部長の吉田と申します。
仕事では2万個以上の時計を修理してきましたが、自分の時計を修理する機会があまりありませんでした、今回は父親の形見の腕時計を修理することにしました。
ロレックスでマッピン&ウェッブのダブルネーム。手巻のアンティーク腕時計です。
マッピン&ウェッブ社は銀器工房でした、1897年にヴィクトリア女王により「王室御用達」とされ現在では宝飾を中心に製作、ロレックスの正規品販売店でもあり世界的にブランドとして知られています。
さて、裏蓋を開けてみました。
時計ケースは懐中時計のように二つ折れ式になっています。
ムーブメントを分解、部品を一つ一つ点検するとかなり傷んでいます。
歯車のホゾ(歯車を支える軸)の摩耗、変形が確認されました。
果たしてどこまで動くのか、部品の修復も無理をすると折れてしまう、折れてしまえば作る事も出来ない部品も有るので慎重に慎重に余り無理をしない、
出来る限り修復を行い部品洗浄、組立、注油、最後にテンプを組み込む。
動き出した、恐る恐る精度を測ると不安定だが振角200°以上、日差は平均で+20秒。
決して満足出来るものではないが、部品交換することは出来ず補修のみなら及第点としよう。
by Youichi Yoshida