末永く大事にしていきたい腕時計

末永く大事にしていきたい腕時計

 

皆さんは古い型式の腕時計を使われますか?

私は古いセイコーの腕時計を今も大事に使っています。

古いといってもクオーツ式なのでアンティーク時計とまではいきませんが、それでも製造から半世紀近く経ちます。

そのセイコーとは、クオーツ時計の「TYPEⅡ」です。 

モデル番号でいうと7546-8350です。

ネイビーのグラデーションダイヤルと9面カットガラスが特徴の腕時計です。

 

ケース径は35㎜くらいなのでわりと小ぶりなほうです。

夏に多用している機械式のボールウォッチと比べると比にならないくらい軽く感じます。

正面から見るとカットガラスにキズがあるのが分かります。交換したいと思ったこともありましたが、すでにこのガラスパーツは廃番になっているので、交換するとしたら代替えの平ガラスにするしかありません。

それだとこの時計の一番の特徴を失ってしまうのでそのまま使用しています。

 


じつはこの時計は当時働き始めた頃に、だいぶ上の立場の上司から譲り受けたものです。もう24年くらい前の話です。

上司のお古ではありましたが、いただいたときには素直に嬉しかったです。

 


私は現在㈱石国の時計販売事業部の責任者になっていますが、入社当時は時計にあまり興味を持たない人間でした。

縁あって時計業界に身を置いたのに、腕時計をせずに売場に立っていました。

入社当時の担当店舗は「東武百貨店 池袋店」でしたから、当時から売場には名だたる時計がたくさんならんでいましたし、修理に持ち込まれる時計はいかにも高級そうな時計が数多くありました。

店頭のプライスを見て腰を抜かすほど、入社当時は異世界に転生されたような状況でした。

 


そんな私でしたが、上司のおかげで社会人になって初めて“時計を持つことの喜び” を知ることができました。

 


この「TYPEⅡ」は1977年頃のものだそうです。

 

1977年ということは、すでに47年前です。

当時「宇宙戦艦ヤマト」の映画が上映されていて、園児だった当時の私は父親に連れられて生まれて初めて映画館に行ったのを覚えています。

遥か昔の懐かしい記憶です。出不精の父親が私を映画に連れていったのはそれが最初で最後でした。
(※記憶が曖昧で、1978年の映画「さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち」だったかもしれません)

ちなみに1978年のセイコーのテレビCMでは荒木由美子さんと田中健さんが出演して「タイプⅡ」を宣伝していました。

当時のリアルタイムで見たわけはないですが、最近になって動画サイトでこのCMの存在を知りました。

CMに使われたTYPEⅡは私の同型モデルではなかったですが、所有モデルの歴史を知ることができてなんだか嬉しい気持ちになりました。

そんな昔に販売された「TYPEⅡ」。

半世紀近く経っているモノですから本来ならいろいろとガタがきていてもおかしくないですが、今も調子よく動いてくれています。私自身モノ持ちが良いほうでして、すでに自分自身で分解掃除を複数回行っています。

私はこの腕時計をモノとして大事にするだけではなく、その時計に纏わる思い出や時計の歴史など、すべてひっくるめて大事にしていきたいと思っています。

 


弊社が担当している百貨店の時計修理コーナーや石國商店には、私のように時計を大事に思われているお客様がたくさん来店されます。

 


「末永く時計を大事にすることが私たちの喜びです」 - これが弊社の素直な気持ちです。

 


2024.08.25 Tetsuro Enomoto