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「イシクニズム」 Vol.3

こまどり遊園



私が幼稚園に入るころ本社裏手に首都高速道路が出来ました。高速道路の下は空き地となっていてフェンスで囲まれていました。

小学生になり高速道路の脇の道路でよく手打ち(バットの代わりに手で柔らかいボールを打つ野球)の三角ベースボール(一塁と三塁とホームだけの野球)をしていました。当然道路ですので車は来ます。車が来ると中断し車が行ってしまうと再開しながら野球をしていました。



ある日の夕食時、母(石田冨美子)が「道路で野球していて危ないわね。高速の下に空き地があるのだから、そこで野球が出来ればいいのにね。」とポツリと言ったそうです。父(先代:石田康國)は成程と思ったそうです。

まずは高速道路公団に話に行ったそうです。何度も足を運んだ結果、道路公団として公園を作る訳にはいかないが、墨田区にスペースを貸し出すことは可能という話を頂いたそうです。

次に都議や区議に話をしに行き区長に取り次いで頂いて、ようやく墨田区として借り受ける事に了承を頂いたそうです。但し、区として予算をつけて管理運営することはできないので管理運営団体を指定してほしいということになったそうです。

そこで町会長や町会の理事の皆さんに話をしに行き、町会が管理運営団体にならないか相談したそうです。町会としてもボールを使った遊び場が増えるという事は素晴らしい事ということで管理運営団体になることが決まり、ようやく高速道路の下にボールで遊べるスペースが完成したそうです。名称は「こまどり遊園」と名付けられたそうです。



最初に高速道路公団に話に行ってから完成するまで10年以上経過していたそうです。私は既に大学生になっていて「こまどり遊園」で遊ぶことは無くなっていました。

更に10数年がたち私にも子供が出来て、その子供と「こまどり遊園」で何度もボールを蹴って遊びました。


先代の「商売は売り買いだけでなく地域のことも考え行動しなさい」という言葉を地で行く話だと思いながら、少し誇らしげに子供と遊びました。

by Kunihisa Ishida