Chat-GPTに聞く腕時計の100年後

Chat-GPTに聞く腕時計の100年後

皆さんはChat GPT(AI)を使用することがありますか?
私は最近、アイデアを広げたいときや、ちょっとした問題を解決したいときによく利用しています。

ただ、私が無料版を使っているからなのかもしれませんが、繰り出されるコメントの中に稀に明らかに間違った情報が入ってきます。
意地悪くそれ違うよねと質問してみるとChat GPTも素直に謝ってくることがあったので、得た情報を鵜吞みにはしないというのが私の現在の(AIとの)付き合い方です。

 

さて、せっかくだから、コラムを書くにあたってこんな質問をしてみました。
「100年後に腕時計業界を取り巻く環境はどうなっているか」

Chat GPTが出してきた内容を簡単にまとめると、以下になります。

①技術革新によってスマートウォッチが今よりさらなる発展をする

②文化・価値観の変化によって「時間」という概念も変化している

③スマートウォッチ市場とハイエンド時計市場の2極化が進行する


ある程度予測できるものではありましたが、やはりこういう類の質問をするのは楽しいです。

 

さて、まず①の【技術革新】については、面白いことが書いてありました。
⇒皮膚と一体化したスマートインターフェース、健康・感情モニタリング機能付き

これはもはや、松本零士先生のSFの世界に近づいているのではないでしょうか。
すでに実際皮膚の下にマイクロチップやLEDライトなどを埋め込んでいる人たちがスウェーデンなど海外で増えているようで、私もテレビで特集を見たことがあります。
「バイオハッキング」や「ボディハッキング」というキーワードを耳にしたことがある人はどれくらいいるでしょうか。
ちなみに私はその番組を見るまではまったく知りませんでした。

今はまだ体の中に異物を組み込むことに嫌悪感を抱く人が多いと思いますが、インフルエンサーのような影響力ある人の中で浸透してくれば、意外に早々と東京でも普及して手術費用も安くなってくるのではないでしょうか。
もしこれが一般化すれば、腕の皮膚の中から赤や青のLEDで時刻が浮かび上がる…そんなSF映画のような未来が、意外とすぐそこまで来ているかもしれません。
こういう世界、皆さんはどう思いますか?

 

つぎに②の【時間の概念の変化】です。まだなんだかんだ時間に縛られている方が多い現在では、「時間の概念が変わる」ということにピンとくる人は少ないかもしれません。
Chat GPTによると、AIやオートメーションの普及によって労働と生活の境界が曖昧になるかもしれないとのことです。
生活の一部が仕事になりその逆も然り、時間単位で線引きして単純に労働と生活とを量るのが難しくなるということでしょうか。
なお、Chat GPTは、この結果、時間を知る道具としての「時計の存在意義」が縮小するのではないかとみています。

私はすでに今の時点で時計が時間を知る道具として絶対的な立場にはないと思っています。
これは、AIの予知する「時間の概念の変化」ではなく、スマートフォンや生活家電の普及による「時刻を知る手段の増加」が主な理由だと考えています。あれもそうですね、アレクサ、いま何時?

時計の歴史をみれば、時刻を知るための「道具」としての面と、ファッションやアート、ステータス性を象徴する「装飾品」という両面がありました。
しかし、前者については先に述べた理由などから時代の変化に伴い役割がほんの少し減った気がします。
逆に後者、パテックフィリップなどに見られる機械式時計/高級時計はアート・ステータス・伝統文化の象徴として価値を維持し続け、現在進行形でマーケットに活気を与えています。

 

そして③【スマートウォッチ市場とハイエンド時計市場の2極化が進行する】ことについては、時計のマーケットが2極化時代になるだろうという予測です。
一方が①にみられた超高機能スマートウォッチ市場(テクノロジー)、もう片方は②でみられた伝統工芸やその工芸価値をもつハイエンド時計の市場(文化)になるとのことです。
そして、この流れからはみ出す「単なる時間を知るための装置」としての腕時計は淘汰される可能性があるとのことです。

 

いかがでしたか?
Chat GPTで予測する未来に「絶対」はありませんが、私は、現状を知る立場で読むと、提示されたその未来に納得感がありました。
実際、時計業界のマーケットはこの10年の間に大きく変化しています。特にコロナ禍がマーケットに与えたインパクトは大きく、時計業界に限ったことではありませんが、コロナ禍前と後とで極端なほど環境が変わりました。

 

ところで、このChat GPTで聞いた100年後の未来にあっても、「時計文化」は残り続けていました。
「技術革新」、「時間の概念の変化」があれど、時計文化そのものはなくならないと予測されているので一安心です。
私は引き続き毎日時計ライフを楽しんでいきます。
とはいえ、マーケットの変化については今後もしっかりと見守りつつ、時代に取り残されないよう私自身楽しみながら変化していきたいと思います。



Tetsuro Enomoto