「イシクニズム」 Vol.38

「イシクニズム」 Vol.38

牛革



 皮製品を扱っていると牛革に接する機会が多く存在する。
当社でも「クニスタイン」「ロコッテ」「ポニー」全てのブランドで牛革の商品がある。

 

 さて。この牛革であるが、牛の皮ということで牛革と呼んでいる。
これをカタカナ表記に変えようとすると色々複雑な要素がある。
 

カーフ(又はカーフスキン)という表記は、牛皮を表す言葉ではあるが、その一部を指す言葉である。
基本的には、生後6ケ月程度までの牛の革のことを指す言葉である。

生後6ケ月程度から生後2年程度までの牛の革はキップ(又はキップスキン)と呼ばれる。
ただこれは日本国内の話であって、ヨーロッパではカーフとキップの区別が無く、生後2年程度までカーフと呼んでいるように感じる。
 

生後2年程度を超えると更に複雑になる。
雌牛はカウ、雄牛はステアと呼ばれる。雄牛に至っては生後3年程度を超えるとブルと呼ばれる。なんとも複雑である。

 

 これらの革が実際に区別できるのかと考えるとちょっと不安になる。
実際は生育期間の違いによって仕入先・輸入先が変わるので混在することはまず無いので、仕入先をしっかりと管理していれば安心である。
 

例えばカーフはニュージーランドからの輸入が多く、キップはオランダから、ステアは北米からの輸入と日本の革が半分ずつとなっていると感じている。

牛革は食肉の副産物であり、とてもサスティナビリティな商材である。皮の為だけに牛を育ててもコストが見合わないと言われている。
結果として食肉としての牛をどう扱うかで、どの皮が取れるかが決まる。その為、国によって原皮の種類が変わってくるのだろうと推察する。
 

 

 実際に製品になると、カーフかキップかに関わらず、商品名として牛革製のものをカーフと呼んでいるものも多く存在する。
革自体を扱う業界と革製品を扱う業界では牛革の素材の名称の使用の仕方は異なっていると感じている。
この違いによって素材偽装というのは余りにも実情に合っていないと感じる。

当社ではこの様な状況をしっかりと勉強し踏まえたうえで表記には非常に気を使って使用している。
是非、石國商店の時計ベルトを試して頂きたい。

 

 

by Kunihisa Ishida