オーバーホールとは?工程・費用・期間などを解説

オーバーホールとは?工程・費用・期間などを解説




オーバーホールとは?

分解掃除のイメージ画像

 

オーバーホールは、日本語では分解掃除と言います。

内装パーツを分解して洗浄し、その後必要な箇所に注油しながら組み立てていく作業のことです。また、ばらしていく過程で不具合のある部品を修正もしくは新しいものに交換します。

オーバーホールの一つ手前の簡易的なメンテナンスサービスでは、内部の消費電流値や歩度の測定などの検査、防水検査、パッキンの交換、磁気抜き、電池式の場合には電池の交換などが行われることがあっても、オーバーホールのようにすべてをばらして注油しなおすところまでは行わないのが一般的です。

 

オーバーホールのメリット・デメリット

オーバーホールのメリットは、時計の精度を維持し寿命を延ばすことができること、また時計内部のダメージを早期に発見できることです。デメリットとしては、そのコストと時間が挙げられます。オーバーホールは専門的な技術と知識を要するため、それなりの費用が発生し、全ての作業が終わるまでに時間がかかることもあります。

 

自分でオーバーホール・時計修理を実施するリスク

時計のオーバーホールを自分で行うことは推奨できません。精密な構造を持つ時計は、専門的な知識と技術、適切な工具などが無ければ適切に修理することは難しいです。また、その過程で間違った手順を踏んだり部品を紛失したりすると、元々の問題以上に時計が損傷するリスクを孕んでいます。そのため、使用上の不具合が出た場合や定期的なメンテナンスは、専門家に任せることをおすすめします。

 

分解掃除では、おおまかな流れは以下のとおりです。

オーバーホールの手順


1.分解


2.洗浄/乾燥


3.組立/注油


4.電気特性観測


5.ライトポリッシュ


6.テスト


7.検品

 

オーバーホールはなぜ必要?

腕時計には内部の歯車などに油をさしてありますが、使用していくうちにどうしてもその油が劣化していきます。

そのほかにも、とても小さなゴミや湿気が内部に侵入していく場合があります。

意外と長年問題なく使えていることもありますが、先述のような状況を長いこと放置していると、歯車の摩耗などによる歩度の狂いや、内部での錆の発生など、深刻な状況が発生している場合もあり、状態が悪くなってからオーバーホールしたときには余計な費用が発生してしまうことも珍しくありません。

 

オーバーホールの推奨頻度

時計メーカー側でも定期的なオーバーホールを推奨しています。

一般的には4年に一度というのが一番よく聞くところですが、この年数はメーカーや修理業者によっても多少の違いがあり、3~4年に一度とか、4~5年に一度など、この期間の説明はメーカーや業者によって異なる場合があります。

また、オメガに見られるコーアクシャルのムーブメントを搭載しているものでは、メンテナンスのサイクルについて5~8年に一度といった具合に長めに説明を受けることが多いと思いますし、逆にアンティーク時計では3年に一度といった具合に通常のものより短めに説明を受けることが多いと思います。

時計の使用年数や仕様などによってもメンテナンスの推奨サイクルが異なる場合があります。

 

オーバーホールの7つの工程

先にご説明した工程につきまして細かく解説していきます。

 

1.「分解」⇒2.「洗浄/乾燥」⇒3.「組立/注油」⇒4.「電気特性観測」⇒5.「ライトポリッシュ」⇒6.「テスト」⇒7.「検品」

 

1.【分解】

腕時計内部の機械をバラバラに分解します。

一般的に、一つの時計の中に含まれる部品の数は、電池式で約5080個、ゼンマイ式で約70120個ほどあります。(例外もあります)

そのひとつひとつが緻密で繊細なものばかりです。

無くさず、壊さず、傷つけないように神経を集中して順序良く機械をバラバラにしていきます。

お持ち頂いた腕時計に不具合があった場合には、その原因を調査しながら分解していきます。



2.【洗浄/乾燥】

まず「手洗い」によってある程度の汚れを落とします

そのあと「超音波洗浄機」によって古い油や汚れを洗い流します。

洗浄用のカゴに部品をひとつひとつ収めていき、専用の洗浄液を使用し、

洗浄機の超音波と回転により細部の汚れを落としていきます。

それでも取りきれない強固な汚れは刷毛(はけ)等を用い再度「手洗い」を行います。

 

3.【組立/注油】

バラバラにした時計内部の機械を元の状態に組み立てていきます。

分解のときとは違い、注油しながら組み上げる必要があり、その油の量も適切でなければなりません。

油量が少ないと部品の磨耗につながり、寿命を縮める場合もあります。

逆に量が多いと油がほかのパーツにまであふれてしまい、精度などに影響が出てしまいます。

また、時計の部品には髪の毛よりも細い軸の部品もありますので、非常に神経を使う作業となります。

 

4.【電気特性観測】

組み立て後は、精度測定器を使用し、動作に問題がないか確認します。

機械式時計では秒単位での微調整を行いながら、日差と呼ばれる時計の精度を調整していきます。

これはデリケートな技術を要する作業です。

 

5.【ライトポリッシュ】

ライトポリッシュとは艶出しのことを指します。

日常使いで付いてしまったクスミ・小傷・浅い傷を磨くことで光沢感を取り戻す作業です。

表面の薄皮をサッと剝がすようなイメージなので、傷取りによる変形の心配などはございませんが、

完全なキズ取りではなく、あくまでつや出し研磨が目的のため、深い傷・へこみ・打痕は残ります。

 

6.【テスト】

専用の測定器を用いて1日の進み遅れを測定し調整を行います。

機械の状態で一旦確認して、調子が悪ければ再度分解からやり直す場合もあります。

その後、機械をケースに収め、腕時計の状態にしてから1日の進み遅れを確認・調整します。

 

7.【検品】

テストで問題がなければ、最終的な動作確認と磨き上がりを点検します。

検品に合格すればオーバーホールは完了となり、お客様へお渡しできる状態になります。

 

 

オーバーホールの依頼の一般的な流れ・期間(石國商店ECでお受付の場合)

 

LINEにてお問合せ

LINEでの簡単見積もり(お見積もり12営業日)】

LINEのオート受付での質問に対して、お時計の画像や情報などを送信していただきます。

いただきました情報をもとに弊社よりお見積もりのご返答をいたします。

  お見積もりのご返答までに12営業日頂戴いたします。

  ※この段階では目安の金額となります。もし修理進行後に予定金額を超える場合には再見積もりとなります。

LINEにてお問合せ

【修理品梱包キットの発送】

お見積もりの結果をみて修理をご希望されたお客様には、弊社より時計梱包キットをお送りいたします。添付の「梱包方法を記した説明書」をよく読んでキットを組み立てたら時計を梱包してください。

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【時計修理品の発送】

時計の梱包が完了したら添付の「着払い配送伝票」を使用してご配送ください。

 

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【時計修理作業開始(修理期間2か月程度)】

お時計が届きましたら修理工房にて修理を開始いたします。

 ~分解掃除の場合~

まず裏蓋を開けます。
⇒竜頭を抜いてケースからムーブメントを外します。
⇒針と文字盤を外します。
⇒ムーブメントを分解していきます。
⇒洗浄機で部品を洗浄・乾燥します。
⇒ケースや金属ブレスレットを超音波洗浄と手洗いできれいに洗浄していきます。
⇒パーツを乾燥します。
⇒必要箇所に注油しながらムーブメントを組み立てていきます。
⇒ムーブメントを測定器でチェックします。歩度や、電池式の場合には電気特性を測定します。
⇒ムーブメントに文字盤・針を取り付け、ケーシングします。
⇒ケースにパッキンを取り付け、裏蓋を閉めます。
⇒防水試験機でチェックします。
オーバーホールの手順


    修理完了まで通常2か月ほどお時間をいただいております。

   お時計を分解して確認していくなかで、追加で修理が必要な場合もございます。

   LINEでお伝えしていたお見積金額を超える場合には再度お見積もりを出しお客様へご連絡をいたします。

   進行の場合はそのまま修理を行い、中止の場合はお時計を返却の手続きをいたします。

  (中止の場合はキャンセル料金3,300円を頂戴しております。予めご了承ください。) 

LINEにてお問合せ

【修理完了および確定料金のご連絡】

修理が完了いたしましたらお客様へ作業完了及び確定料金のご連絡をいたします。

 

LINEにてお問合せ

【修理完了品の発送(ご連絡後12日)】

お支払いが確認できましたらお客様へご修理品の発送準備を開始いたします。

お時計を梱包し発送の準備が整いましたらお客様へご連絡し、発送いたします。

  ご連絡から12日ほどでお手元にお時計が届きます。

 

 

オーバーホールが必要か簡単にチェック

以下のような症状が一つでも該当する場合はオーバーホールの相談をされることをお勧めします。

 

共通

・ご使用3~4年以上経過

・大幅な時刻狂い

・ガラスの内側がくもってしまい、ずっと消えない

 

電池式(またはソーラー式)の場合

・電池式の場合は電池を交換しても止まっている

・ソーラー式の場合は光を当てていても止まっている

・今は動いているが、一度止まったことがある

・電池のもちが悪くなった

・ソーラー充電のもちが悪くなった

 

機械式の場合

・進み遅れが大きくなった

・一日腕につけていても止まることがある

・完全停止(ゼンマイを巻いてもピクリとも動かない)

・手巻時計や自動巻(手巻機能付き)でゼンマイを巻き上げる際のリューズ回しが以前より重くなった。

 

 

代表的なモデルのオーバーホール費用例

 

実績のあるモデル費用例
(過去の事例です。同修理内容でも料金に違いが出る場合がごあります。予めご了承ください)

 

・ロレックス オイスターデイト 60,500円(税込)

内容:分解掃除・劣化部品交換

・ロレックス デイトジャスト 59,400円(税込)

内容:分解掃除・劣化部品交換

 

・チューダー 49,500円(税込)

内容:分解掃除・劣化部品交換

・チューダー 50,600円(税込)

内容:分解掃除・ぜんまい交換

 

・エルメス ケープコッド 45,100円(税込)

内容:分解掃除・劣化部品交換(非防水時計)

・エルメス クリッパー 38,500円(税込)

内容:分解掃除・劣化部品交換(非防水時計)

 

・グッチ 36,300円(税込) 

内容:分解掃除・劣化部品交換(非防水時計)

  

・ルイヴィトン 47,300円(税込) 

内容:分解掃除・劣化部品交換(非防水時計)

 

オーバーホールの費用相場と価格決定要素

オーバーホールの費用相場


時計のオーバーホールに必要な費用は、小さな腕時計から大きな掛け時計まで、モデルやブランド、故障の程度によって大きく変動します。また、プロによる手作業が行われるため、技術レベルや手間も費用に影響します。一般的には、数千円から数万円の範囲内で広がっております。



相場価格の決定要因


オーバーホールの相場価格は概ね以下4つの要素によって決まります。



1. ブランドとモデル:

オーバーホールにかかる費用は、大きくはブランドとモデルにより左右されます。一般的に、高級ブランドや複雑な機構を持つモデルのオーバーホールは、コストが高くなりがちです。また、同じブランドでも新しいモデルや限定モデルの修理は、特殊な部品や技術が必要となるため、費用が上がることがあります。



2. 故障の程度:

時計がどの程度損傷しているか、あるいは故障があるかどうかも、オーバーホール費用の決定要因となります。大きなダメージや複雑な問題を抱えている場合、それに対応するために更なる時間と労力が必要となり、結果としてコストアップにつながります。



3. 部品の取替え:

オーバーホールの過程で部品交換が必要となる場合、そういった部品のコストも全体の費用に反映されます。特に、純正部品を使用する場合や希少な部品を手配する必要がある場合は費用が高くなる可能性があります。



4. プロフェッショナルの技術力:

質の高いオーバーホールを実施するには、高度な技術力と経験が求められます。そのため、技術力の高い職人や専門の時計修理店は、その技術力を反映した料金を設定しています。



これらの要素を総合して、各店舗や修理業者はオーバーホールの価格を決定しています。そのため、実際にオーバーホールを依頼する際は、複数の業者から見積もりを取って比較検討することがおすすめです。

 

 

まとめ

腕時計のような精密機械は、急に止まってしまったときにどうすることが最適解なのか、どのくらいの修理金額がかかるのかなどについて詳細な情報が少なく、ご不安もあるかと思います。

オーバーホールのような専門的な内容についてはプロの専門家にお任せいただくことが時計のトラブルを解決する一番の近道だと思います。

まずは、時計修理のプロに相談しましょう。

 

石國商店の店舗には「時計修理技能士」や「ウオッチコーディネーター」の資格を持つスタッフが複数在籍していますので、ご不安な点につきましてはしっかりとお答えします。

時計修理のご相談につきましては営業時間中であればいつでもご対応いたします。

混雑時にはお待ちいただくこともあるかもしれませんが、ご予約は不要です。お気軽に店舗にご来店ください。


 


 

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石國商店 店舗のご紹介



弊社直営店の「石國商店」は、時計修理技能士の資格をもつスタッフが在籍している店舗です。石國商店では、電池交換作業の際に、ただ電池交換を行うだけでなく、末永く時計を大事に使っていただきたい思いから、ムーブメントの消費電流値を計測して時計の健康状態をチェックしております。取り扱う電池種類も豊富なうえ、電池の使用推奨期限も徹底管理しています。

 

 20233月にリニューアルオープンした「石國商店 東京ソラマチ店」

 

石國商店を運営している会社(株式会社石国)は有名百貨店の時計修理コーナーを複数担当しております。担当している百貨店時計修理コーナーの中にはトップブランドが揃う日本有数の時計サロンもあります。

社員の技術力向上にも積極的で、毎月店舗の技術リーダーを本社に呼び、修理事業部長による研修会を行っています。



この会社では入社すると全社員が3級時計修理技能士を取得することが義務化されております。これはお店に立たない総務経理担当であろうと、すべての正社員が取得しなければならない徹底ぶりです。

 

また、時計修理技能士の1級や2級についても、店舗の資格取得希望者に対して修理技術員が年間を通して研修指導を行い、毎年資格合格者を生み出しています。

石国社員が取得した資格証書の写真
社内に掲示されている時計修理技能士などの資格証書類

(写真に見えていないところまで並んでいます)

 

時計についてお困りの際には、ぜひ一度 石國商店にご相談ください。

石國商店ECでの受付はこちらから